<コラム>【放置は厳禁!】不動産を相続したらどうする?【売却する場合は?】
親や家族に万が一のことがあり、不動産を相続することになったらどうすれば良いのか、迷う方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、不動産相続時のポイントについてお伝えしたいと思います。
不動産を相続したら…
例えば、高齢のご両親が住んでいた不動産を相続したとします。その場合、相続人は既に独立し、ご自分で住宅を所有していることも少なくないため、「不動産を相続しても、どうすればいいか分からない」という状況に陥ることも決して珍しくはありません。
そのような場合、不動産の活用法として一般に考えられるのは以下の3つです。
- 1.そのまま放置する
- 2.不動産を貸与することで家賃収入を得る
- 3.不動産を売却し、現金化する
順番に解説していきます。
そのまま放置する
まず、相続した不動産を使う予定がなく、そのまま使用しないで放置していた、いわゆる空き家状態とした場合を見ていきましょう。
空き家としてそのまま使用せずにいると、次のようなリスク・デメリットが生じてしまいます。
資産価値の低下
人が住まなくなった建物は、住んでいる建物に比べて老朽化の進行が早いといわれています。 室内の空気が動かなくなると、梅雨時などは湿気がこもる確率が高くなり、よってカビが繁殖します。 特に木造住宅の場合は、湿気およびカビに弱いため、更に劣化の進みが早くなり要注意です。
こういった要因から、建物の資産価値は徐々に低下していってしまうのです。
資産価値が低下してしまうと、将来的に売却することになった時になかなか買い手がつかないといった状況になりかねません。
活用していなくても、毎年固定資産税がかかる
不動産に対して支払う税金・固定資産税は、毎年1月1日時点での所有者に課税されます。もちろん、居住していない・活用していない不動産も例外ではありません。
近年では空き家問題が深刻化しており、このような状況を打破するために、2015年5月「空き家対策特別措置法」が施行されました。
特定空家等は、この空家等のうち、法第2条第2項において示すとおり、以下の状態にあると認められる空家等と定義されている。 (イ) そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態 (ロ) そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態 (ハ) 適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態 (ニ) その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
国土交通省「『特定空家等に対する措置』に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」より引用
適切な管理が行われていない空家等のうち、法第2条第2項に定める「特定空家等」と認められるものに対して、法の規定を適用した場合の効果等について概略を整理する。
(中略)
「特定空家等」に該当する家屋に係る敷地が、固定資産税等のいわゆる住宅用地特例の対象であって、法第 14 条第2項に基づき、市町村長が当該「特定空家等」の所有者等に対して除却、修繕、立木竹の伐採その他周辺の生活環境の保全を図るために必要な措置をとることを勧告した場合は、地方税法(昭和 25 年法律第 226 号)第 349 条の3の2第1項等の規定に基づき、当該「特定空家等」に係る敷地について、固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外される。国土交通省「『特定空家等に対する措置』に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」より引用
すなわち、空き家をあまりにもひどい状態にまで放置し、「特定空き家」として認定されてしまうと、固定資産税の軽減措置対象から外れてしまうということです。
その場合の固定資産税負担額は、およそ6倍にまで膨れ上がると言われています。(※不動産によって異なります)
維持管理が手間
先ほども述べた通り、資産価値を下げないためにも庭木や雑草が伸びた場合の手入れや空気の入れ替え、冬の期間の除雪など、最低限の維持管理は行ったほうが良いでしょう。しかし、不動産が遠方にある場合、頻繁に赴くにも費用と時間がかかります。 専門の管理業者にお願いする方法もありますが、当然のことながらこちらも費用が発生してしまいます。
無駄な時間やお金を使いたくないからと言って何もしないでいると、物件によっては「特定空き家」に指定され、税負担が増す可能性もあります。
将来的に活用する目処が立っており、その際にかけた費用を回収できるなら自ら手間をかけたり業者へ依頼するのも良いでしょう。しかし、そのような目処が立っていないのであれば、際限なく手間やお金をかけることになってしまいます。
不法占有や家財の盗難、空き巣被害など防犯上の問題がある
不審者から「放置状態の空き家」として認識をされてしまうと、家財を盗難される被害にあう可能性があります。また、仮に住みつかれてしまった場合(不法占有)犯罪の目的で建物を使用されることも考えられます。
さらに、不審者から放火の対象になる危険性もあります。 特に閑静な住宅街や人通りの少ない場所に建物がある場合は、その危険性が高くなります。
台風、地震、火災など防災上の問題がある
災害によって倒壊した場合、責任は所有者になります。自然災害は予測不能のため、万が一駆け付けることができない場合の対処法も考えておく必要があります。
不審者の放火による火災リスクもあり、万が一火災が起きてしまうと、高額な処分費や解体費、その他様々な手間のかかる手続きが必要となります。
このように、せっかく相続して手に入れた不動産を放置してしまうと不利益を被るばかりで、大きなメリットは得られません。
将来的な需要の増加が見込める場合や、いずれ使用する予定がありそうという場合、あえて放置する選択肢も考えられますが、明確な時期が決まっていないと修繕維持費などの出費が重なるだけで、非常に勿体ない状態となってしまうのです。
賃貸として貸し出す
次に、相続した物件を賃貸として貸し出す場合を見ていきましょう。
この場合、上手く借主が見付かれば家賃収入を得ることが出来ます。しかし、古い物件になると、給湯器が壊れたり雨漏りがしたりと、修繕のための費用ばかりが掛かってしまう可能性があります。
また、いずれ借主が退去する日のことも考えなければいけません。 借主が退去し、また次の借主が見つかるまでは当然ながら収入は得られません。借主が見つかるまでの期間が長ければ長いほど、収入は減り維持管理費は増えていきます。
結局「人に貸したが、コストばかりでマイナスになってしまう」ということも少なくありません。
売却し、現金化する
放置するにも、人に貸し出すにしても何かとデメリットやリスク、出費が多いので、「相続した不動産に住む予定がない/活用法が分からない」という方は、まずは売却を検討しましょう。
売却すると、固定資産税・維持管理費などの出費は必然的に無くなりますし、もちろん管理の手間なども考える必要がなくなります。放置したり貸し出したりする際のデメリットをそのまま手放せるわけですね。
また、売却すれば手元に現金が残ります。そのまま貯蓄に回しても良いですし、将来自分がお子さんやお孫さんに相続させることになった場合のことを考えて運用するのも良いでしょう。
それでは、実際に相続不動産を売却することに決めたら、どのように進めていけば良いのでしょうか。
不動産を売却することになったら
相続財産の中でも不動産は財産価値が高いものですので、その取り扱いは慎重に行いましょう。 ここから、具体的に相続不動産の売却の流れについて説明します。 おもな流れは、下記の通りです。
不動産売却の流れ
- 1.相続登記
- 2.売却相談・査定依頼
- 3.不動産会社の選定・媒介契約
- 4.所有権移転登記
- 5.物件引渡し、決済
順序ごとに要点、注意点等を詳しく解説していきます。
1.相続登記
相続不動産の売却を行うためには、相続登記(=相続した不動産を自分の名義に移すこと)が必要となります。この手続きを踏まなければ、不動産を売却することは出来ません。まずは相続登記を行いましょう。
※手続きが煩雑になることが多いため、弁護士・司法書士等に依頼することがお勧めです。
2.売却相談・査定依頼
売却にかかる費用、所有不動産の相場、住宅ローンの残高の有無等によって、様々な売却パターンが想定されます。まずは不動産会社に相談し、見積もりや査定書を出してもらいましょう。
3.不動産会社の選定・媒介契約
相続登記を完了し、相続人が売主となった後は不動産会社の選定・媒介契約を行います。 不動産会社によって取り扱う物件が異なっていたり、販売活動におけるサービス(例えば、売却物件に置いてある荷物の一時預かりや、ポータルサイト等に掲載する写真の撮影・演出、売却後の不具合に対応する為の設備・建物の点検等)にも差があることから、慎重に選定したいところです。
4. 所有権移転登記
不動産会社による販売活動を経て、物件の買い手が見つかり売買契約が成立した後は、所有権移転登記を行います。 所有権移転登記とは、土地・建物の所有権が移った際に「不動産の権利が誰にあるのか」を登録する手続きを指します。
これはトラブル回避の為、売買契約成立後、売主・買主共同で速やかに行なうべき作業となっています。(弊社の場合、連携する司法書士へ依頼し、営業担当立ち合いの下でこちらの手続きを行います)
所有権をめぐるトラブルとは
例えば、売主が二重に売買契約を行っていた(一つの土地の売買契約を、売主が買主A/買主B両方と行っていた)場合が考えられます。 所有権移転登記によって「不動産の権利が誰にあるのか」明確になるので、先に登記を済ませた買主Aは、土地所有の権利を主張出来ます。そして、買主Bは売買契約を済ませたとしても、所有権は認められません。
このような「第三者に所有権を奪われかねない状況」を回避するためにも速やかに移転登記を済ませることをお勧めします。
所有権の移転登記に関しては、手続きの際の工程が煩雑なため司法書士に依頼するのがほとんどです。ご参考までに、個人で行う場合は下記のような流れになります。
必要事項を記入した登記申請書(法務局にて取得)と併せて
法務局/市区町村の役所にて必要書類(※)を取得して提出する
↓
登記所で不備がないかを確認
↓
登記識別情報と登記完了書を受け取る
※必要書類
●買主側
・登記識別情報または登記済証(法務局にて登記時発行)/・印鑑登録証明書/・固定資産評価証明書/・代表者事項証明書または会社登記簿謄本
●売主側
・住民票/・代表者事項証明書または会社登記簿謄本
5.物件引渡し・決済
無事に契約成立し、買主への物件引渡しが完了した後売主は売却代金を受取り、不動産会社に仲介手数料を支払います。
これにて、不動産の売却が完了となります。
不動産を相続して売却するとなった場合、このような工程を踏んで手続きを行います。
まとめ
いかがでしたか?
他の方法と比べてリスクやデメリットが少ない相続不動産の売却ですが、その必須の申請・手続きは複数存在し、注意点も多岐に渡っていることが分かりますね。
相続発生時の対応、そこから売却に至るまで、ご自身で全てご判断のうえ手続きをなさるのは、容易なことではないと思います。
グピカグループでは、相続時にまつわるご相談から、いざ売却となった場合の手続きまで一貫したご提案が可能となっております。 スムーズな相続へのご誘導・売却のお手伝いをさせて頂きますので、お気軽にご相談くださいませ。
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